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【神になった男】

その男はさえない男だった。
小さいころから家は貧しく体つきも虚弱で貧相な顔つき、スポーツも勉強もできず、性格も内向的で物心ついた頃から男子からはイジメられ女子からは気持ち悪がられていた。
そのため小、中、高と彼女はおろか友達さえひとりもいなかった。
性格はますます内向的になり、ウサ晴らしに昆虫の手足をもいだり、蝶の羽根をちぎったり、ボウガンで犬や猫を射るなど陰湿な性格はますます加速していくのだった。
高校を卒業後、地元の小さな訪問販売会社で働き始めるが、そこでも社内では彼に近づく者はひとりもいなかった。やがてその会社がサギ商法で当局に摘発され、ヒラ社員ではなぜか彼だけが逮捕された。要領の悪く、口下手な彼は当局の誘導尋問にあっさりひっかかり、取調調書にいいようにサインしてしまったのである。
ヨボヨボの国選弁護士をつけられ、検察は5年の刑を要求、弁護側はなにも反論できず、なぜか倍の10年の実刑判決が下された。

10年後出所した彼は実家に戻り実家が経営する小さな町工場で働き始めるが半年もしないうちに経営者である父親が倒れ、あっけなく他界。
跡を継いだ彼は経営の建て直しを計るがなにごとにも要領の悪い彼のこと、逆に経営は傾いていくのだった。
そんなある日のこと突然大きな会社から大口の注文が入り、チャンスとばかりに精魂込めて徹夜で働き、商品を納入した。
すると相手からこれからも大口の長期契約を結びたいと連絡が入り、彼は収入を見込んで借金をして大型の機械を納入し、従業員も大勢雇った。
しかし三ヶ月もしないうちに受注元のその大会社が不動産に手を出し失敗、あえなく倒産してしまった。
母親はショックで急死、あとには莫大な借金だけが残ったのだった。

彼は夜逃げし、名前も過去も隠しひたすら世を忍んで職を転々とした。しかし、病弱な彼の肉体はそんな生活に耐え切れず、貯金をしては病気にかかり、治療費で貯金はパーという生活が続いた。
そんなある日、深夜買い物に行く途中車にはねられ重体を負ったのだった。運転手は大学生でコンパの帰りで酒を飲んでいた。
しかしその大学生の父親は大物政治家で、警察に圧力をかけ、警察は捜査を打ち切り。
その大学生が罪に問われることはなく、慰謝料も支払われなかったのだった。

いよいよ臨終という時、奇跡は起こった。
薄れゆく意識の中、彼は神を見た。
神は言った。
「お前さんほどツイてない男も珍しい。このままじゃ成仏できまい、どうじゃ、今度は違う人生を歩んで見るか?」
男は一も二もなく了承した。

次の瞬間男は赤ん坊に戻っていた。前世の記憶を持ちながら。

男の生まれついた家は旧華族の名門で、世界でも有数の大富豪だった。
優しい両親のもと、すくすくと成長していく彼。幼い頃からありとあらゆる英才教育を受け、勉強もスポーツも常にトップ。また6歳の時にIQテストを受けたところIQが200という天才児であることがわかり、同時に絶対音感の持ち主であることも判明。ピアノやバイオリンなど音楽活動にも精を出した。
中学に入学してからはロックバンドを結成、その才能と、ギリシャ彫刻のような端正なマスクで芸能界にスカウトされた。芸能界でもトップスターとなり、やがて役者の道に進む。
そこでも才能を発揮し、演技力を買われハリウッド超大作に主役として出演、日本人として初のアカデミー賞主演男優賞を受賞、世界的な大スターとなる。
高校に入ってからはまた音楽活動を始め、ジャンルを問わず名作を創作、数々の賞を受賞した。
高校2年の頃にはクラシック音楽も手がけ、モーツァルト以来の神童と世界中から大絶賛された。
高校卒業後は日本最難関の東京大学理科Ⅲに現役でトップ合格、首席で卒業後アメリカに渡り、ハーバード大学で史上最年少で物理学博士号、生物学修士号を取得、大学院でビジネススクールを学び日本に帰国。父親の跡を継ぎ伊郷コンツェルンの若き総裁となるのである。そして天才的な経営手腕で伊郷コンツェルンは世界最大の企業となる。

しかし10年を経過した頃から彼は自分の肉体の異常に気づいていた。40も盛りだというのに肉体がまったく老いないのである。20歳くらいの頃と容姿がまったく変わらない。

彼はついに不老不死を手に入れたと歓喜した。資産を整理し会社を引退、南の孤島に大豪邸を建て、50人のメイドに囲われ何不自由なく生活した。
金は人生200回くらい遊んで暮らせるほど持っていた。
「あははははははは」彼は笑った。笑い続けた。昼も夜も笑い続けた。

彼は嬉しさのあまり精神に異常をきたしてしまっていたのである。
南海の孤島に彼の笑い声だけが何百年も響いた。
「あはははははは」
「あはははははは」
2010/06/20(日) 12:06 未整理 記事URL COM(0)
【チョビヒゲ】

世の中にはヒゲを生やしている人がたくさんいる。
いろんなヒゲ。似合うヒゲ。似合ってないヒゲ。ああヒゲ。おおヒゲ。
だがワケの分からんヒゲというものがある。

【チョビヒゲ】である。

あんなモン誰が好き好んで生やすのだろう?
やれと言われれば断固断る。まだ丸刈りの方がマシである。
あんなモンただの罰ゲームではないか。

チョビヒゲを見たことはない。
いや、ある、いや正確に言うとない(どっちなんだ)

「サザエさん」の磯野波平だ。
磯野波平はチョビヒゲだ。
なぜ彼はチョビヒゲなのだろう?
磯野家は大家族だ。そして波平は大黒柱だ。働き手は他にもいる。マスオさんだ。だが、このマスオさんどうも頼りない。
「カツオー宿題終ったの?(サザエ)」
「帰ってからやるよ姉さん」
「おいおい、また僕が手伝うのかい?カツオ君」

そんな時に出てきて一喝するのは波平だ。
「コラカツオ!宿題もせんで野球とは何事だ!宿題を済ませてからにしなさい!」
耳をひっぱられ引きずられていくカツオ君。さすが一家の大黒柱である。
なるほどじゃあ波平のチョビヒゲは家長の威厳としてのヒゲだったのか。

まてよ、威厳なら明治時代の板垣退助のような大きなハの字形のヒゲのほうがよさそうである。なぜそうしなかったのか?

「サザエさん」はアットホームドラマである。日曜日の夕方に家族で観るととても安心する。そんな中に板垣退助が1人ポツンといたらどうだろう?非常に浮く。食卓には笑顔が無くなり、とても怖い。マスオさんまでマネしだしたら大変である。

「サザエさん」の作者長谷川町子氏は波平に家長として威厳をもたせるためにヒゲをつけようと考えたのだが「怖いヒゲ」ではダメだと考えた。そこで愛嬌のある「チョビヒゲ」にしたのではないだろうか。作者長谷川町子氏がお亡くなりになった今その真意を知る者はいない。だが今や磯野波平といえばチョビヒゲ、チョビヒゲといえば磯野波平である。日本中にこれだけチョビヒゲで知られている人物もそうはいない。

2010/06/20(日) 12:01 未整理 記事URL COM(0)
【吸血鬼になりたかった】

僕は吸血鬼になりたかった。

今でもそう思う。

何でそう思うのだろう?自分なりに分析してみた。

まず僕は夜が好きだ。昼よりも自由度がUPするような気がする。暗いし。
僕は昔から狭いところがすきだった。今でもそれは変わらない。
寝る時などは絶対に壁際がいいし、となりにコタツがあれば最高だ。できればはさまれて眠りたい。

ウチの中学は新設校で、当時の最先端の技術が導入された。電子ピアノ、センサー式理科実験装置、OHP利用式地理投影などなど。
そんな中でもっとも特殊だったのが【視聴覚教室】だ。

ただの器具を並べた視聴覚室とは違うよ。

その空間に入ると三半規管が狂うんだ。壁材が全ての音を遮断するから、大ゲサだが宇宙にいるような感覚になる。しかも蛍光灯だらけの校舎において、そこだけはやわらかいオレンジ灯なのだ。僕は惹かれた。「一生ここに居てもいい」と

さて、日本人は死ぬと白木の箱に入れられる。
僕はそれではイヤなのだ。
1度でいいからドラキュラが入る、あの内側が赤の絹になったカンオケで寝てみたい。空気穴は開けといてね。死ぬから。

次に惹かれるのはその不死性だ。何百年も生き、何十階のビルから飛び降りても平気、銃で撃たれても平気。焼かれようが斬られようが平気。その不死性はすばらしい

さて、ただの不死なら僕も魅力を感じない。

彼らには弱点があるのだ。「日光」「銀」「木のクイ」「聖水」

生物としてこれだけ多くの弱点を抱えているのも珍しい。

いや、っだからこそなのだ!完璧な存在になど憧れはしない、弱点があるからこそ憧れるのだ。

終わりのない人生などつまらないもんだ

2010/06/20(日) 12:00 未整理 記事URL COM(0)
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